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【正論】国家の存立縛る憲法学への疑問 京都大学名誉教授・佐伯啓思

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【正論】
国家の存立縛る憲法学への疑問 京都大学名誉教授・佐伯啓思

 普段、政府の意思決定を多数派の横暴といい、少数派の意見を尊重することこそが民主主義だ、などといっている朝日の論調からすれば、少数派の2人こそ尊重されてしかるべきだ、という気もするが、それはともかく、このアンケートでは自衛隊の合憲性も問われている。違憲とする者は50人、違憲にはあたらないとする者は28人である。また憲法改正に関しては賛成が6人、反対が99人である。

 ≪平和主義と国の防衛の齟齬≫

 こうなると大多数の憲法学者の「常識」と世間の「常識」の間に、かなりの懸隔があるようにみえる。アンケートに従えば半数ほどの憲法学者が自衛隊は違憲だと考えている。つまり、自衛隊という組織を解体せよ、というわけである。しかし今日、この主張はほとんどの国民の支持を得ることはできないであろう。また憲法改正にしても、各種の世論調査ではおおよそ50%前後が憲法改正に賛成という結果がでているのである。

 問題の根本はどこにあるのだろうか。これは憲法9条の「平和主義」と「国の防衛」の間の齟齬(そご)へといきつく。平和の希求もよい。侵略戦争の放棄もよい。しかし、9条はそれ以上のことをいっている。特に2項のいっさいの戦力不保持は、それ自体が国家の安全保障に関わるもので、国家の政策を予め縛ってしまうのである。

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