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【産経抄】9月13日

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【産経抄】
9月13日

 旧暦の2月、8月に列島を襲う風の猛威を、先人は「二八月荒れ右衛門」と恐れた。「八月」の風は今の9月に訪れる台風を指す。気象の格言にも雨風にちなむものが多い。いつ崩れるとも知れぬ空模様への備えが、人々の心を占めた証しだろう。

 ▼栃木、茨城の両県には「日光蓑(みの)に筑波笠(かさ)」の口伝があると聞く。2つの山がまとう雲の形は、近づく雨を知らせてくれる、と。ここ数日、関東から東北にかけて狂奔した雨雲は、蓑でも笠でもない。南北500キロ、東西200キロにわたった数珠つなぎの積乱雲である。

 ▼気象衛星のとらえた長大な雨雲の帯に、目を疑った方もおられよう。東日本を縦に走った線状降水帯に、学校で習い覚えた前線の面影はない。昨今は空の動きが格言を裏切ることも多く、「先人の知恵が色あせる」との嘆きを聞く。空の、地球の変化が激し過ぎる。

 ▼堤防が決壊した茨城県などでは、逃げ遅れた住民が多かった。防災意識の有無がすべてとは言い切れない。国や都道府県の管理する河川が2万以上ある中、治水万全の川はほぼないという。荒川、隅田川などを抱える首都東京も向こう岸の災禍と侮ってはなるまい。

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