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【正論】言語を磨く文学部を重視せよ 評論家・西尾幹二

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【正論】
言語を磨く文学部を重視せよ 評論家・西尾幹二

 自国の歴史を漢字漢文で綴(つづ)っていた朝鮮半島の人々が戦後、漢字を捨て、学校教育の現場からも漢字を追放したと聞く。住人は自国の歴史が漢字の原文で読めないわけだ。私はそのことが文化的に致命傷だと憂慮しているが、それなら今の日本人は自国の歴史の原文を簡単に読めるだろうか。漢文も古文も十分に教育されていない今の日本人も、同様に歴史から見放されていないか。

 ≪未来危うくする文科省の通知≫

 学者の概説を通じて間接的に自国の歴史を知ってはいるが、国民の多くがもっと原典に容易に近づける教育がなされていたなら、現在のような「国難」に歴史は黙って的確な答えを与えてくれる。

 聖徳太子の十七条憲法と明治における大日本帝国憲法を持つわが国が3番目の憲法を作ることがどうしてもできない。もたもたして簡単にいかないのは何も政治的な理由だけによるのではない。

 古代と近代に日本列島は2つの巨大文明に襲われた。2つの憲法はその2つの文明、古代中国文明と近代西洋文明を鑑(かがみ)とし、それに寄り添わせたのではなく、それを契機にわが国が独自性を発揮したのである。しかしいずれにせよ大文明の鑑がなければ生まれなかった。今の日本の困難は自分の外にいかなる鑑も見いだせないことにある。米国は臨時に鑑の役を果たしたが、その期限は尽きた。

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