産経ニュース

【日曜に書く】「戦後70年」に思うこと 歴史として概括することはいまだ… 論説委員・福島敏雄

ニュース コラム

記事詳細

更新

【日曜に書く】
「戦後70年」に思うこと 歴史として概括することはいまだ… 論説委員・福島敏雄

 この「皮相上滑り」が、西欧渡来の思想や文化を学びつづけ、自家薬籠中のものにしたと勝手に思いこんだ、冒頭にあげた知識人たちにトラウマのようにまつわりついていた。

 「12・8」とは、そのトラウマをもたらした当の西欧との戦いのはじまりであり、それが清々しい爽快感につながったのであろう。

 ◆閉ざされた言語空間

 西欧近代との戦いを思想的に根拠づけるために、開戦後、まもなく開かれたのが、京都学派の知識人や、小林ら雑誌「文学界」の同人らによる「近代の超克」をテーマにした座談会であった。西欧直輸入の近代は超克されなければならない、日本を中心とした東亜による新しい秩序を築かなければならない-といった問題が提起された。

 現在も未解決の重要な提起であったが、論議そのものは「皮相上滑り」をしていた。西欧渡来の知識や思想によって、西欧近代を乗りこえていくという発想が、そもそも自己矛盾であり、ネジレていたからだ。

 その結果、20年8月15日によって、小林のような例外はもちろんあるが、多くの知識人は密(ひそ)やかに転向した。べつの言い方をすれば、ふたたび「目からウロコが落ちた」。

「ニュース」のランキング