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【日曜に書く】「戦後70年」に思うこと 歴史として概括することはいまだ… 論説委員・福島敏雄

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【日曜に書く】
「戦後70年」に思うこと 歴史として概括することはいまだ… 論説委員・福島敏雄

 当時、12年7月7日の盧溝橋事件に始まる日中戦争(日支事変)はドロ沼化していた。大義のない戦争にたいし、知識人のあいだには、そうとは発言することもできなかったが、鬱屈した気分がひろがっていた。

 「12・8」によって、そんな気分が一掃された。宣戦布告による国家同士の対等な戦争であり、対中戦争とはまったく異なっていたからだ。

 ◆皮相上滑りの開化

 だが、それだけではなかった。かれらの意識の底まで測深鉛を垂らせば、日本近代のありように対して、根本的な疑義、あるいは絡みつくような後ろめたさがあった。亀井の「維新以来我ら祖先の抱いた無念」という奇妙な感想は、このあたりからやってきた。

 「富国強兵」や「脱亜入欧」に代表されるように、日本の近代は、もっぱら西欧に追いつき、追いこすことを目指した。そのために西欧の先進的な制度や技術だけでなく、思想や文化をも吸収した。

 あたりまえだが、西欧直輸入の近代化は、日本という土壌に、どうにも馴染(なじ)めない部分があった。それを直感したのが、英国留学の経験を持つ夏目漱石だった。講演「現代日本の開化」で、西欧の開化は内発的なのに対して、日本の開化は外発的であり、「皮相上滑りの開化である」と断じた。

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