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【風を読む】
歴史の楽しみ誘う「諸説あり」 論説副委員長・沢辺隆雄
最近ネットで「本能寺の変」を検索すると、学生服姿の2人組がダンスを踊りながら歴史上の出来事を歌う不思議な動画が見られる。中高生らに人気というので、遅まきながら見てみたがおもしろい。プロのダンスユニット「エグスプロージョン」が、動画投稿サイト・ユーチューブに公開している「踊る授業シリーズ」で、「島原の乱」「ペリー来航」編などもある。
「本能寺の変」編は2分程度の動画のなかで、「どうして~?」と独特の軽快なリズムに乗り、なぜ明智光秀は謀反を起こしたのか背景も説明。ユーモアたっぷりで、歴史の先生が見たらびっくりするかもしれないが、動画の最後に「諸説あり」とテロップが流れる。
近年、歴史ブームといわれるが、歴史上の人物はそのとき何を考えていたのかなどさまざまな解釈、諸説あるところが、ドラマとしても興味を増すのだろう。作家、鯨(くじら)統一郎さんの短編推理小説『邪馬台国はどこですか?』(創元推理文庫)のように、邪馬台国の場所や聖徳太子の正体など思ってもみなかった「説」が登場し、歴史の楽しみを誘ってくれる作品もある。