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【一筆多論】スー・チー氏は「リアリスト」か 宇都宮尚志

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【一筆多論】
スー・チー氏は「リアリスト」か 宇都宮尚志

 今月、ミャンマーの最大野党である国民民主連盟(NLD)党首、アウン・サン・スー・チー氏が中国を初めて公式訪問した。軍政時代、国際社会から孤立するミャンマーを支えてきたのが中国であり、欧米が支援するスー・チー氏とは対立する関係だった。それなのになぜ、スー・チー氏は中国からの訪問要請を受け入れたのか。彼女はいつの間に政治的な「リアリスト」に変身してしまったのか。

 国営新華社通信によると、スー・チー氏と習近平・中国共産党総書記(国家主席)は北京の人民大会堂で会談し、両国の友好関係を発展させることで一致した。中国は従来、他国の野党指導者との対話には消極的とされていただけに、今回は異例の厚遇ぶりといえた。米紙ウォールストリート・ジャーナルは「中国外交の転換」を指摘したが、背景には中国のミャンマー政府に対する牽制(けんせい)のほかに、スー・チー氏を取り込む思惑もあったようだ。

 ミャンマーでは2011年の民政移管後、急速に“中国離れ”が進んでいる。テイン・セイン政権は中国がミャンマー国内に予定していた大型水力発電ダムの建設を凍結したほか、日本や欧米諸国との関係改善をはかり、経済の立て直しに着手した。今年2月にはミャンマー国軍と中国系少数民族コーカン族との間で戦闘が発生。中国との緊張が高まった。

 ミャンマーでは今秋に総選挙が予定され、NLDが参加すれば大勝すると予想されている。中国としては選挙後を視野に入れ、政権と対立するスー・チー氏との関係構築に乗り出したとみられる。

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