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【産経抄】外交小国イギリス 6月10日

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【産経抄】
外交小国イギリス 6月10日

 1937年に英国の財務相から首相となったチェンバレンは、イーデン外相の反対を押し切って、ナチス・ドイツに対する宥和(ゆうわ)政策を進めた。軍備増強にともなう財政負担を恐れたからだ。結果的に大戦とホロコーストを招いた、と後継首相のチャーチルは、戦後厳しく批判する。

 ▼英国はなぜ、中国の呼びかけに応じて、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加を決めたのか。国際政治学者の細谷雄一慶応大教授は、先日の読売新聞紙上で説明するなか、チェンバレンに触れていた。

 ▼今回の決定も、オズボーン財務相が、外務省の反対を抑えて主導したものだ。確かに、外交の論理より経済の論理を優先させる、よく似た図式である。英国では今、スコットランド独立やEUからの離脱を求める声が高まるなど、政治的な混乱が続いている。もはや「健全な外交を行うことは難しい」と、細谷さんは指摘していた。

 ▼米国と英国の影響力がかげるのを見透かしたように、ロシアはクリミアを併合し、中国は南シナ海での岩礁埋め立てを進めている。ドイツで行われたG7では、こうした中露の「力による変更」を非難する、首脳宣言が採択された。安倍晋三首相が存在感を示したのも、世界の秩序を維持するために、日本の役割がこれまで以上に大きくなっている表れであろう。

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