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【産経抄】6月7日

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【産経抄】
6月7日

 いにしえのローマ人は真珠を「月のしずく」と呼んで珍重した。中国では「人魚の涙」にたとえられ、万葉集では「しらたま」の美名で歌に詠まれている。その産地として名高い英虞(あご)湾(三重県志摩市)は、月ならぬ夕日との相性がいいらしい。

 ▼作家の山崎豊子が『華麗なる一族』の中で賛美している。「空一面が燃えたち、英虞湾の空と海とが溶け合うように炎の色に輝く」。湾に突き出た賢島(かしこじま)の中心に建つ、志摩観光ホテルから望んだ夕景という。穏やかな海が入り日にさざめく、一瞬の光のショーである。

 ▼財界人の社交場として描かれたホテルが、次は国際政治の舞台となる。来年の主要国首脳会議(サミット)が三重県の「伊勢志摩」で開かれることになった。各国のリーダーには真珠のみならず、自然の織りなすまばゆい記憶もお土産に持ち帰ってもらうとしよう。

 ▼決め手はメッセージ性という。伊勢志摩には、自然の造形美に富んだ国立公園がある。伊勢神宮もある。内宮には皇室の祖神とされる天照大神がまつられ、何より約2000年の歴史がある。安倍晋三首相が語った「日本の心」を伝えるには、格好の舞台であろう。

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