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【オリンピズム】64年東京のいまを歩く(7)王者は絶対ではない アベベは“パラリンピアン”

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【オリンピズム】
64年東京のいまを歩く(7)王者は絶対ではない アベベは“パラリンピアン”

 きっかけは手書きのマラソンコース図だった。宝箱のような秩父宮博物館の倉庫で元館長、三上孝道が見せてくれた。彼は私より少し年嵩(としかさ)だが同年代だ。

 1964年東京では、アベベ・ビキラが印象に残ったという三上と語らった。「どっちが名字でどっちが名前か」。エチオピアに名字はなく、アベベが自身の、ビキラは父の名である。

東京五輪マラソン競技で優勝し金メダルを獲得したアベベ・ビキラ。「裸足の王者」が東京大会で履いたのはプーマ社のシューズだった=1964年10月21日

東京五輪マラソン競技で優勝し金メダルを獲得したアベベ・ビキラ。「裸足の王者」が東京大会で履いたのはプーマ社のシューズだった=1964年10月21日

 そういえば昨年、東京大会50周年記念で来日した次男も、イエトナイエト・アベベと紹介された。

 三上が言った。「折り返してひとり旅になってからすごかったな」。「ゴールした後、何事もなかったように屈伸し始めたのには驚いた」と私。「確か虫垂炎の手術を受けてすぐ(選手団が東京出発の12日前でレースの35日前)だったよ」「下馬評ではアベベは駄目だといわれていたはずだ」

 石原慎太郎は64年当時、共同通信の依頼で寄稿し、「それは行為者が到達しうる極限の美」「その美しさはまさしく神秘的ですらあった」と称賛した。

 しかし、王者は絶対ではない。68年メキシコ市大会の前年、アベベは誇るべき脚や膝を故障、治療を強いられた。東京の奇跡の再来をねらい、無理して出場したメキシコのレースも途中棄権に終わった。

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