記事詳細
【iRONNA発】
先進国で最悪レベル「子供の貧困」 なぜ豊かな日本で解決できないのか

こうした厳しい状況の背景の一つは、子供を持つ親たち、特に若い親たちの労働状況の悪化だろう。しかし、日本の場合、貧困化の進展に合わせて、政府からの子育て世帯への援助が限られている。つまり、公的支援が貧困なことを指摘しなければならない。
まず、子育て世帯は経済的に困窮していても、児童手当などの金銭的な支援(現金給付)を十分に受けていれば、貧困に陥らずにすみ、子供への影響を防ぐことができる。他の豊かな先進国が子供の貧困率を低く抑えることができているのは、親たちの稼働所得に格差が少ないためではない。現金給付が日本に比べ、潤沢なためである。
さらに、子育て世帯は現金給付だけでなく、教育や保育など公的なサービスを受けている。こうしたものを「現物給付」と呼んでいるが、現物給付が十分であれば経済的に困窮していても、例えば、高い教育費負担に悩むことは少なくなる。
ところが、日本では現物給付も現金給付以上に貧困な状況だ。特に、公的教育支出(対GDP比)に関しては、2005年から11年までOECD(経済協力開発機構)31カ国(メキシコ・トルコなど中進国も含む)の中で最も低い割合である。少子化率を配慮しても極端に低い。