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【産経抄】死火山にあらず 5月8日

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【産経抄】
死火山にあらず 5月8日

 寺田寅彦は昭和10年4月、家族とともに箱根に出かけた。物見遊山の旅だったが、どうしても物理学者の目で、周囲を観察してしまう。「ごく古い消火山と新しい活火山との中間物といったような気のする山である」(『箱根熱海バス紀行』)。

 ▼消火山とは死火山のこと。阿蘇山や浅間山が活火山、富士山が休火山であるのに対し、箱根山は死火山である。かつての教科書には、そう書いてあった。有史以来、噴火の記録のない火山は死んだとみなし、記録があっても現在は活動していない山を休止と判定していた。

 ▼もっとも現在では、この区分は使われていない。死火山と思われていた御嶽山(おんたけさん)で昭和54年に起きた噴火が、きっかけとなった。その御嶽山が昨年9月、再び雄たけびを上げた。山頂付近にいた登山客ら57人の命が奪われた悲劇は、記憶に生々しい。

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