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【国語逍遥(58)】訃報と敬称 ベイチョウさん、おおきに 清湖口敏

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【国語逍遥(58)】
訃報と敬称 ベイチョウさん、おおきに 清湖口敏

落語家として初の文化勲章受章が決まり、喜びを語った桂米朝さん=平成21年10月、大阪市(飯田英男撮影)

 2月21日に歌舞伎俳優の坂東三津五郎さん、3月19日には上方落語の桂米朝さんと、日本の代表的な芸能を支えてきた2人が相次いで亡くなった。

 三津五郎さんの死去を報じた各紙(東京発行の全国紙)に目を通すうち、ふと、どれもが見出しに「坂東三津五郎さん」と書いてあるのに気がついた。それがどうしたと言われそうだが、40年前の昭和50年に河豚(ふぐ)毒にあたって亡くなった先々代(八代目)の三津五郎さんの死亡記事を思い出したのである。

 あのとき、産経が「坂東三津五郎丈 フグ食べて急死」と報じるなど、いくつかの新聞が見出しや写真説明で「坂東三津五郎丈」と書いた。「丈」が歌舞伎役者の敬称として一般に広く知られていた時代があったことにいささかの感慨がこみあげてき、いま、十代目の訃報に「三津五郎丈」と書けば、はたして若い人は理解できるだろうかと、不安がよぎった。

 米朝さんも、そろって「桂米朝さん死去」の見出しだった。このとき思い出したのは、落語界初の人間国宝となった「柳家小さん」の死去(平成14年)を伝える紙面だった。

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