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【産経抄】「収拾」と「ポア」 3月20日

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【産経抄】
「収拾」と「ポア」 3月20日

 中国の長い歴史は、多くの奇人・変人に彩られている。その一人、明末の反乱軍のリーダー、張献忠(ちょう・けんちゅう)は、現在の四川省の住民の皆殺しを図り、親しい友人さえ気分次第で部下に殺害を命じた。「あいつを『収拾(ショーシ)』してくれ」。「収拾」とは、一家眷属(いっかけんぞく)皆殺しを指す隠語である(『中国人物伝IV』井波律子著)。

 ▼20年前のきょう、オウム真理教の信者が東京都心の地下鉄車両に猛毒のサリンを散布し、13人が死亡した。今も多くの被害者が深刻な後遺症に苦しんでいる。首謀者の教祖、麻原彰晃死刑囚は事件の報告を受けると、「ポアしてよかったね」と喜んだという。

 ▼「首謀者の命は 宗教より重く 他者の命は …砂漠の風よりも軽い」。数日前の「朝の詩」に掲載された、過激組織「イスラム国」をテーマにした作品は、麻原死刑囚にも当てはまる。殺人を「魂を奪う」という意味の言葉「ポア」で正当化した麻原死刑囚にとって、他者の命は限りなく軽い。

 ▼自らの命の重さは、どうだろうか。裁判で弁護側は、精神的に病み、訴訟能力がないと主張した。麻原死刑囚の四女は、小紙の取材に対して「詐病で自分を守っているのだろう」と突き放す。弁護団が繰り返してきた再審請求も、死刑の執行逃れとの見方がある。

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