産経ニュース

【正論】歴史を見る目歪める「北岡発言」 埼玉大学名誉教授・長谷川三千子

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
歴史を見る目歪める「北岡発言」 埼玉大学名誉教授・長谷川三千子

 いわゆる「戦争責任(ウォー・ギルト)」条項として知られる231条には「連合国政府はドイツおよびその同盟国の侵略により強いられた戦争の結果、連合国政府および国民が被ったあらゆる損失と損害を生ぜしめたことに対するドイツおよびその同盟国の責任を確認し、ドイツはこれを認める」とあります。

 そして、このような罪状によって、ドイツには連合国の戦費すべてを負担する全額賠償という巨額の賠償が負わされたのでした。

≪敗戦国だけに責任負わせる概念≫

 では、そのような重大な罪であるドイツの「侵略」はどんな根拠に基づいて認定されたのかといえば、ほとんどいかなる客観的検証もなされなかった。むしろ逆に、前例のない巨額の賠償を根拠づけるために、降伏文書では単なる普通の武力攻撃を意味していた「アグレッション」という語を、重大な罪を意味する言葉「侵略」へと読みかえてしまったのです。

 現在のわれわれは、第一次大戦がいわば誰のせいでもなく起こってしまった戦争-各国のナショナリズムの高揚の中であれよあれよという間に拡大してしまった大戦争だったことを知っています。

 その戦争の原因をもっぱら敗戦国だけに負わせる概念として登場したのがこの「侵略」という言葉だったのです。こんな言葉を使ったら、歴史認識などというものが正しく語れるはずはありません。

「ニュース」のランキング