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【正論】歴史を見る目歪める「北岡発言」 埼玉大学名誉教授・長谷川三千子

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【正論】
歴史を見る目歪める「北岡発言」 埼玉大学名誉教授・長谷川三千子

≪定義づけのない「侵略戦争」≫

 「私は安倍さんに『日本は侵略した』と言ってほしい」-3月9日、或(あ)るシンポジウムの席上で北岡伸一氏が述べたと伝えられるこの発言は、大変な問題発言と言うべきものです。「安倍談話」について検討する懇談会の座長代理を務める方が、いわば場外である公の場で自らの私見を述べる、というマナー違反もさることながら、一番の問題は発言の内容です。

 日本が侵略戦争をしたのか否かという話を政治の場に持ち込んではならない-これは単に、そういう問題は歴史学者にまかせておけばよいから、というだけのことではありません。もしも本当に学問的良心のある歴史学者ならば、そんな問いには答えることができない、と突っぱねるはずです。

 なぜなら「侵略戦争」という概念そのものが極めていい加減に成り立ったものであって、今に至るまできちんとした定義づけがなされたためしはないからなのです。

 ここで簡単に「侵略(アグレッション)」という言葉が国際法の舞台に登場してきた経緯を振り返ってみましょう。今われわれが使っているような意味での「侵略(アグレッション)」という言葉が最初に登場するのは、第一次大戦後のベルサイユ条約においてです。

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