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【産経抄】空襲慰霊碑の建立を 3月10日

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【産経抄】
空襲慰霊碑の建立を 3月10日

 作家の故吉村昭さんと半藤一利さんは70年前のきょう、ともに東京大空襲に遭遇している。半藤さんは炎上する自宅から逃げて、川に飛び込んだ。

 ▼川の中から、小さい子連れの母親の髪や洋服が紙くずのように燃えるのを見た。「じつは川の中の自分も危なかった。泳げない人が、私の手に●(つか)まる。足にも●まる」。浮いたり沈んだりしているうちに、船に助け上げられたという。

 ▼一方吉村さんは、橋の上から川を流れる死体を見ていた。「七、八十体あったかな…付着力なのか、くっついて筏(いかだ)みたいに固まっていて…」。「東京の戦争」をテーマにした対談の一部である。米軍の約300機のB29爆撃機は、計1600トンの爆弾を投下し、一夜にして約10万人を焼き殺した。

 ▼この東京大空襲を機に米軍は、軍事施設を狙う爆撃から、一般市民をも標的とする無差別爆撃へと戦術を切り替える。名古屋や大阪など大都市だけでなく、地方都市にも及び、空爆による死者の総数は数十万人にのぼった。

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