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【産経抄】よそ者の夢 3月4日

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【産経抄】
よそ者の夢 3月4日

 作家、井上ひさしさんの母堂、マスさんが生前ママを務めていた、岩手県釜石市のバーを訪ねたことがある。東北各地を転々とした後、「鉄の町」の好景気にひかれて、昭和27年にやってきた。上智大学に在学中だったひさしさんも、夏休みに帰省してそのまま約2年半暮らしている。その経験は、『花石物語』という小説にもなった。

 ▼「釜石には以前から『よそ者』を受け入れる土壌がある」。野田武則市長はかつて地元紙のインタビューで語っていた。昭和54年から60年にかけて、日本選手権7連覇の偉業を成し遂げた新日鉄釜石ラグビー部の強さの秘密にも、つながっているのではないか。

 ▼旧富士製鉄の同好会としてスタートしたラグビー部は、地元の高校卒業生を採用して、徹底的に鍛え上げるのを基本方針としていた。地元が熱烈に応援してくれるチームにしたかったからだ。

 ▼一方で、チームの強化と将来の指導者育成のために、松尾雄治さんら大学ラグビーの名選手の勧誘も怠らなかった。海外の最新戦術も積極的に取り入れた。つまり「北の鉄人」は、地元とよそ者のパワーの組み合わせで成り立っていた。

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