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【産経抄】デザインは世界をつなぐ 2月10日

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【産経抄】
デザインは世界をつなぐ 2月10日

 めずらしい名字の由来は、曽祖父の時代にさかのぼる。永久庵、村人たちからは「えくあん」と呼ばれる寺で、子供たちに読み書きを教えていた。「戸籍登録」の際に当て字で記入されたのがはじまりらしい。

 ▼終戦の年、海軍兵学校の生徒だった。実家の寺のある広島市内に戻り、焼け跡に呆然(ぼうぜん)とたたずんでいると、地の底から一切万物の怨嗟(えんさ)の叫びが聞こえてきた。「自分たちを元に戻せ」。「ものづくり」文化の再建こそが、自分の進むべき道だと心に決めた。この体験が、工業デザイナーの草分け、栄久庵憲司さんの原点だったと、自著で振り返っている。

 ▼新進時代の大ヒットが、おなじみのしょうゆ卓上びんである。キッコーマンの担当者が、陸軍幼年学校出身とわかり意気投合した。工場で容器に詰めて、そのまま卓上で使う。ガラス製だから、量は一目瞭然、液だれをしない工夫もし、赤いキャップで明るさを表現した。女性が持つと小指が上がるようにもデザインされている。

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