産経ニュース

【正論】2.7北方領土の日 あえぐロシアを攻める「好機」だ 北海道大学名誉教授・木村汎

ニュース コラム

記事詳細

更新

【正論】
2.7北方領土の日 あえぐロシアを攻める「好機」だ 北海道大学名誉教授・木村汎

 他方、中国との関係を現在以上に緊密化することは、ロシアに数々のマイナスをもたらす危険が否めない。例えば、モスクワは今や北京のジュニア・パートナーに堕したとのイメージを全世界に広げるだろう。また、実にタフな交渉者の北京は、当然ロシア産資源の購入に際して国際水準を下まわるバーゲン価格を要求するだろう。

 単純な引き算の結果、15年のロシア外交の主要ターゲットは日本になると見て、間違っていない。とりわけプーチン大統領の訪日を実現できれば、ロシアは一石三鳥の利益を入手可能。第1は、G7の分断。第2は、アジア地域で中国と日本を競わせる利益。第3は、日本に恩を売ること。あわよくば日本へ領土を返還することなく、ロシア極東開発に関する何がしかの協力の言質を取り付ける。

 ところが冷静に考えてみると、安倍晋三首相のほうが、プーチン大統領に比べ強い立場に身をおいている。歴史上稀(まれ)な位に有利だと言ってよい。同首相は、まず有権者から政権継続のお墨付きを新たにしたばかりの強力・安定政権である。また、現ロシアは経済低迷一般にプラスして、冒頭にのべたような「三重苦」に喘(あえ)いでいる。

 ≪訪れた3度目のチャンス≫

 さらに、プーチン大統領は3月18日クリミア半島をロシアへ併合するに当たり、同半島が歴史的に「ロシアの固有領土」であるとの正当化理由を用いた。この言葉を逆手にとれば、北方四島は「日本の固有の領土」との日本側の主張は強化され、大統領が二重基準をとることを許さなくする。首相は歴史問題談話でこのことに触れ、70周年記念を機に連携行為に出ようとする中露両国に対し前もって理論的反撃を行うべきだろう。

「ニュース」のランキング