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【産経抄】
2月1日
「時間」とは誰の持ち物なのか、と考えることがある。わが国の冠婚葬祭は大安や仏滅など中国由来の六曜に左右される。不動産業界には「契約お流れ」を嫌って、水曜定休の習わしも残る。国家、民族、宗教、慣習。気随気ままになるようで、実は自由の利かない持ち物であろう。
▼古い暦には、いまの1月と2月に当たる月がなかったという。紀元前8世紀ごろのローマで用いられたロムルス暦は1年が304日、3月から始まり12月で終わる。農閑期の1、2月が名無しでも、不自由がなかった(藪内清著『歴史はいつ始まったか』中公新書)。
▼2月が28日で落ち着くまでの曲折は、ここでは触れない。要は地球の公転に合わせ、1年を365日で整えるための補欠である。「今日から月が改まり…」と、ありきたりに書き出そうとした本稿だが、ご都合に振り回された「2月」の悲運を思って、手を止めた。
