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【産経抄】1月25日

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【産経抄】
1月25日

 「強」の字に「木」を添えて「木強(ぼっきょう)」と読む。「飾り気がなく一徹」。辞書にそうある。蛮勇をふるい、腕っ節を誇るだけの強さでは下の者がついてこない。さりげなく木陰をつくってこそ、強さを慕って人も集う。

 ▼かつて、養鶏の名人がこう語ったという。最強の闘鶏とは-。空威張りせず、相手の声や姿にいらだたず、相手を侮らず。木彫りのごとく無の境地に達し、徳を備えた鶏だ、と。『荘子』に出てくる「木鶏(もっけい)」の故事として広く知られている。強さに添えるべき「木」とは、さしずめ「徳」であろう。

 ▼大相撲の横綱白鵬は9年前の大関昇進時、元横綱大鵬の納谷幸喜さんから改名を勧められた。自身と一時代を画した横綱柏戸にあやかり、「柏鵬(はくほう)」にしては、と。上に立つ者は「木」を備えよ、との含みがあったのかもしれない。

 ▼改名は沙汰やみになったが、今や立ち姿に「土俵の大木」の観がある。東日本大震災では、力士会の先頭に立ち被災地支援に走った。野球賭博や八百長事件で地に落ちた相撲人気の回復も「白鵬あってこそ」の声に異論は出まい。

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