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【一筆多論】もてはやされるピケティ 格差論議で気がかりなこと

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【一筆多論】
もてはやされるピケティ 格差論議で気がかりなこと

ロンドンで講演するパリ経済学校のトマ・ピケティ教授=2014年6月(共同)

 経済格差の拡大は必然だとするフランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の大著「21世紀の資本」が話題を呼んでいる。年末に邦訳版が出版されると、主要メディアがこぞって取り上げた。これをきっかけに、格差論議がブームのような広がりをみせている。

 ピケティ氏の論をかいつまんで言うと、歴史的にみて、金融資産や不動産、工場、機械などの資本から得られる収益率は経済の成長率を上回る。このため、富が一部に集中し、持てる者と持たざる者の格差が拡大するというものだ。その解決策として資本に対する国際的な累進課税を提唱している。

 ピケティ氏の分析は、年末の経済協力開発機構(OECD)の調査報告でも裏付けられる。

 それによると、過去30年、日本を含む先進国の多くで所得格差が広がった。さらに1990年から20年間の経済を分析すると、メキシコとニュージーランドでは格差拡大で成長率が10%以上押し下げられたという。日本や英米などでも同様の傾向がみられる。

 これは、成長路線を突き進む安倍晋三政権にも重要な示唆を与える。行き過ぎた格差と、その固定化は、低所得世帯の教育機会を損なうことなどを通じて経済全体の生産性向上を妨げるからだ。

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