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【外信コラム】
ソウルからヨボセヨ 日本離れの現代史回顧
韓国で年末から映画『国際市場』がヒットし、観客動員1千万人突破の勢いと話題になっている。タイトルにある国際市場というのは南部の港街・釜山にある大型マーケットのこと。朝鮮戦争(1950~53年)当時、北朝鮮から米軍の輸送船で脱出してきた避難民がはじめた闇市として知られる。
映画は国際市場に住みついた北からの避難民一家の苦闘の人生を描いている。いわば韓国の“戦後史”を背景に、今はいささかの余裕の中で「お互い苦労したなあ…」と過去を振り返る話になっている。
靴磨きなどをしながら貧困の中で育った主人公は長じて西ドイツに炭鉱労働者として出稼ぎに行き、そこで知り合った出稼ぎ看護婦と結婚。後にベトナム戦争に金もうけで出かけるが、負傷し障害者になる。
さらに北朝鮮脱出の際、生き別れになった妹が米国にいることが分かり劇的に再会する。昔の国際市場では後に現代自動車を創業する若き日の鄭周永青年が現れ、靴磨き少年に起業の夢を語る…。
「われわれはよくがんばった」という肯定的歴史観だが、そこには「日本」は一切、登場しない。今年は韓国も解放・独立70年。ぜひ日本非難抜きという意味の「日本離れ」で現代史を回顧してほしいものだ。(黒田勝弘)
