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【主張】トヨタ特許公開 燃料電池車の新時代開け

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【主張】
トヨタ特許公開 燃料電池車の新時代開け

 世界で激しい競争を繰り広げる自動車メーカーとして、画期的な取り組みである。

 トヨタ自動車が燃料電池車の普及に向け、燃料電池関連の全特許を無償提供する。他社の参入を促して、市場を早急に創りあげるのが狙いだ。

 燃料となる水素と空気中の酸素を化学反応させて発電し、モーターを動かす燃料電池車は、走行中に水しか排出しない究極のエコカーである。

 水素は次世代エネルギーの有力候補だ。その特許開放という英断が、トヨタの技術の世界標準化につながることを期待したい。環境先進国としての日本を海外にアピールする好機ともなろう。

 トヨタは昨年末、世界に先駆けて燃料電池車の一般販売を始めた。ただ、高い価格や水素を補給するステーションの確保などが普及の課題となっている。

 電気をつくる基幹部品など、同社が単独保有する約5680件の特許すべてを無償公開する。同社はこれまでハイブリッド車の関連特許なども公開してきたが、あくまでも有償が前提だった。

 こうした「オープン化」は電機産業を中心に広がってきたが、自動車業界では極めて異例である。「虎の子」の技術の公開には、社内でも反対があったというが、それでも「水素社会はいろんな会社が参加してくれないとできない」(豊田章男社長)と判断して開放を決めた。

 開発当初は「1台1億円」とされた燃料電池車だが、昨年売り出した「MIRAI(ミライ)」は723万円だ。政府も約200万円補助するが、それでも割高なのは否めない。

 価格の引き下げや水素ステーション設置に弾みをつけるには、やはり海外メーカーを含めて参入を促して急速な普及が不可欠だ。

 エコカー同士の競争激化も背景にある。米国の電気自動車のベンチャー企業であるテスラ・モーターズが昨年、電気自動車の自社特許の公開方針を示した。

 トヨタも自社技術を世界に広め、燃料電池車の開発を促進させる思惑があろう。

 トヨタの取り組みについて、燃料電池車の開発を進める日産自動車やホンダも歓迎している。日本の自動車業界は、高い排ガス技術で世界で確たる地位を築いた。

 燃料電池車を、新たな幕を開く存在として育成してほしい。

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