産経ニュース

【産経抄】未来につながる英断 1月8日

ニュース コラム

記事詳細

更新

【産経抄】
未来につながる英断 1月8日

 「水からガソリンができる」。こんな“耳よりな話”が昭和13年、日本海軍にもたらされた。民間の発明家が、水に特別な薬品処理を行い加熱することで、ガソリンを造る方法を突き止めたというのだ。

 ▼近衛文麿首相が、どこかで耳にしたらしい。米内光政海相に閣議の後、「調べてみたら」と耳打ちしたのが、始まりだ。かねて石油の重要性を訴えてきた山本五十六海軍次官の命令で、実験が行われることになった。3日にわたる実験の後、ついにガソリンが完成する。

 ▼もっとも、化学知識のある将校が、容器の取り換えのトリックを見破り、詐欺事件は未遂に終わった(『日本海軍燃料史』)。なんとも、嘆かわしい顛末(てんまつ)である。ただ3年後に始まった対米戦争が、石油を求める戦いだったことを思えば、とても笑う気分にはなれない。

 ▼最近の原油価格の下落は、日本経済にとって大変な朗報である。とはいえ、「脱石油」が、日本にとって悲願であるという事実は変わらない。トヨタ自動車が先月、世界で初めて一般向けに販売を始めた燃料電池車「MIRAI(ミライ)」は、その切り札の一つである。

「ニュース」のランキング