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【スポーツ茶論】ミスター・ベースボール 別府育郎

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【スポーツ茶論】
ミスター・ベースボール 別府育郎

 高倉健さんは映画「居酒屋兆治」で、肩を壊した元高校球児を演じた。プロ球団監督役の「ミスター・ベースボール」もあるが、自身では「三振の意味も知らなかった」と話した。東映の撮影所には「健さんは、打って三塁に走った」との伝説もあるらしい。

 だが野球選手との逸話は数多くある。好きなのは村田兆治さんの引退にまつわる話だ。「あなたに褒められたくて」(集英社文庫)に自身で書いている。

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 行きつけの床屋で偶然、村田さんの最後の試合を見た。今去りゆくマサカリ投法の名投手の姿に涙し、その寂しさを思い、手紙を書く。どうしても自分で届けたくなった。

 花屋のふりをして球団に電話をして住所を確認し、道に迷って地元の花屋の青年に同行してもらう。村田家は不在。ガレージの車に花かごを置き、中に手紙を入れた。村田夫人はスポーツ紙の女性記者と帰宅し、記者も一部始終を知る。

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