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【主張】大学入試改革 「ゆとり」失敗繰り返すな

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【主張】
大学入試改革 「ゆとり」失敗繰り返すな

 大学入試改革が検討されている。中央教育審議会は、国立大学などの1次試験に当たる大学入試センター試験を廃止し、新たなテストの導入などを盛り込んだ答申案をまとめた。

 知識偏重を改め、思考力や表現力重視の入試に変えようとしている。方向性は理解できるが、同様の狙いで学力低下を招いた「ゆとり教育」の二の舞いを演じないよう十分な検討が必要だ。

 政府の教育再生実行会議が「一発勝負、1点刻み」の入試を見直すよう提言したのを受け、中教審が具体策を検討している。

 答申案ではセンター試験に代わる新たな「学力評価テスト(仮称)」を設け、出題内容も複数教科を組み合わせた総合問題などで、知識の活用力を重視するよう提案した。各大学の2次試験も筆記試験だけでなく、高校時代の社会活動を評価するなど、選抜方法の工夫を求めている。

 こうした多様な尺度で意欲ある学生を選抜しようという入試は、米国を参考にしたものだろう。しかし、米国の大学教育は、勉強しなくては授業についていけない厳しい教育内容が伴っている。

 日本は、受験勉強はしても、入学後に勉強しなくてもすむ甘い大学教育が改善されていない。中教審の資料でも、授業の予習などに充てる時間が1週間当たり11時間以上の学生は米国で約6割を占めるのに、日本はわずか約15%にすぎない実態が紹介されている。

 大学入試は、制度を触る度に悪くなるという批判がある。少子化で受験人口が減り大学に入りやすくなっている現状で、「学力不問」が強まり、面接でのPRばかりうまい学生が増えるような「入試改悪」になる心配はないか。

 入試改革は5、6年先の実施を目指しているが、慎重に議論を進めるべきだろう。各大学も、入学後に学生をいかに勉強させ鍛えるか、指導体制や教育内容の改善を先に考えてもらいたい。

 中教審は大学入試だけでなく、高校の教育を含めた「一体的改革」を求め、高校での「基礎学力テスト(仮称)」の導入を盛り込んでいる。こうした学力向上につながる施策を優先してほしい。

 変化の激しい時代に国内外で活躍できる人材育成を進める上でも、高校、大学を通して、基礎学力を固め、教養を高める改革とすべきだ。

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