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【新聞に喝!】尖閣報道で抜け落ちた視点 ノンフィクション作家・門田隆将

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【新聞に喝!】
尖閣報道で抜け落ちた視点 ノンフィクション作家・門田隆将

 にこやかに語りかけた安倍晋三首相に対して、ひと言も発せず、プイと顔を背けた習近平国家主席。ゲストを迎えたホスト国トップの非礼な態度は習氏にとっても、中国にとっても、決してプラスにはならないだろう、と思う。

 私はアジア太平洋経済協力会議(APEC)の新聞報道に注目していた。国交回復以来、日本の新聞の多くは、中国批判をタブーとし、中国に「譲歩」し、その発展に「寄与」することを当然のように報じてきた歴史がある。

 さすがに今回、習氏がとった態度をたたえる日本の新聞は1紙もなかったが、首脳会談の実現については、歓迎する論調で占められていた。

 私が注目したのは、首脳会談実現のために土壇場で交わされた「4項目合意」だ。この中に、尖閣海域で近年〈緊張状態が生じていることに異なる見解を有していると認識〉するとの文言があった。これを、一貫して「尖閣に領土問題は存在しない」としてきた日本側の譲歩と取るのか、否か。

 果たして新聞の見方は完全に分かれた。「首相条件なし会談貫く」と産経が書けば、読売も中国側が出した「いずれの条件もクリアされない段階で、首脳会談に応じる方針に転換した」と中国側が折れたという解釈を掲げた。

 これに対して日経は「中国の譲歩を促してきた首相も最後は歩み寄りを示した」、東京も日経と同じ見方を示し、朝日と毎日は、両者の中間に位置する記事を書いた(いずれも8日付朝刊)。

 私は、これらの中に日米安保条約「第5条」からの視点が欠落していたことに失望した。アメリカが日本の領土を防衛する義務を負う根拠となるこの第5条は、中国にとって最大のネックだ。

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