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【主張】
和紙が無形遺産に 技術力の発信を競い合え
「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録される見通しだ。
手間をかけて作られる丈夫で美しい和紙は、世界に誇れる日本の伝統技術だ。ものづくり日本の象徴として、広く世界に発信したい。
無形文化遺産には2009年、すでに手漉和紙の「石州半紙」(島根県浜田市)が登録されている。今回はこれに「本美濃紙」(岐阜県美濃市)、「細川紙」(埼玉県小川町、東秩父村)に範囲が広げられ、「和紙」として登録が勧告された。
石州半紙は主に障子紙として用いられ、本美濃紙は正倉院に残る戸籍用紙にも使われた。細川紙は土地台帳や大福帳などに使用されたことで知られる。
昨年の「和食 日本人の伝統的な食文化」に続くもので、過去には能楽や歌舞伎、結城紬(つむぎ)なども登録されている。和紙は、伝統的知識や技術が世代間で受け継がれてきたことなどが評価された。
和紙の魅力は、身近なところでも発揮されている。
ポケットに紙類を入れたまま洗濯してしまったことはないだろうか。領収書の類は残骸の塊となるが、お札だけは破れもせず、原形のままをとどめている。和紙の製法が応用されていることが、その大きな理由の一つである。
無形文化遺産への登録勧告を受けて、和紙デザイナーの堀木エリ子さんは本紙の取材に「2020年の東京オリンピックではぜひ、和紙の聖火台を作らせてほしい」と訴えた。
素晴らしい発案だと思う。
ただ、世界に発信すべき日本の技術は、和紙だけではあるまい。ものづくりの国の存在感を示すべく、われこそは、と聖火台づくりも競い合ってはどうか。開会式の聖火点火をめぐっては、「最終ランナーに鉄腕アトムを飛ばす」というアイデアもあった。
三菱重工業の子会社、三菱航空機が小型ジェット旅客機「MRJ」を完成させたばかりだ。国産旅客機の開発はプロペラ機「YS11」以来、半世紀ぶりとなる。
あらゆる機会をとらえて、ものづくり日本の復権につなげたい。和紙の無形文化遺産登録も、国産旅客機の開発も、その契機となる。国際社会で日本の存在感を取り戻し、国内では地方創生にも寄与することになる。
