産経ニュース

【産経抄】人騒がせな人 10月28日

ニュース コラム

記事詳細

更新

【産経抄】
人騒がせな人 10月28日

 「世間をお騒がせしたことをおわびします」。不祥事が発覚した政治家や芸能人の常套(じょうとう)句である。赤瀬川原平さんの場合、誰に迷惑をかけたというわけではないが、世間は何度も驚かされた。

 ▼最初に名前が大きく紹介されたのは、昭和39年1月、朝日新聞の社会面トップ記事だろう。「自称超前衛派」の若い画家(27)として登場している。千円札の模造作品が、偽札事件との関連を疑われたのだ。作品が前衛芸術か否かが争われた「芸術裁判」は、美術史に残る出来事となった。

 ▼十数年後、今度は作家の尾辻克彦として文壇に登場する。『父が消えた』で芥川賞まで受賞した。受賞パーティーで、選考委員の丸谷才一さんに、「お礼に」と茶封筒を差し出した話も有名だ。丸谷さんは当然固辞したが、中から出てきたのは、「零円札」の作品だった。

 ▼きのう始まった「読書週間」に関係する仕事といえば、『赤瀬川原平の今月のタイトルマッチ』と題した書評の本も出している。赤瀬川さんは、「本を全部読むのが苦手」と公言していた。そこで本の中身ではなく、タイトルだけを「書評」することにしたというのだ。

「ニュース」のランキング