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【主張】高齢者と社会保障 能力に応じて負担したい

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【主張】
高齢者と社会保障 能力に応じて負担したい

 高齢者への「過度な優遇」をそろそろ見直してもいいのではないか。

 厚生労働省が、75歳以上の後期高齢者医療制度で低所得者らの保険料を最大9割軽減する特例措置を段階的に廃止する方針を明らかにした。

 年金についても、人口減少などの影響を勘案し支給額を自動的に調整する「マクロ経済スライド」と呼ばれる仕組みについて、デフレ下でも発動できるよう改め、支給額を抑制する考えを示した。

 少子高齢化はこれからが本番だ。団塊世代が75歳以上となる平成37年度の社会保障給付費は現在より40兆円ほど増え、約149兆円に及ぶとみられる。高齢者にも許容できる範囲で「痛み」を求めるのはやむを得まい。両案とも当然の対応だといえよう。

 消費税増税で当面の財源確保にめどがみえてきたとはいえ、サービス抑制や負担増に向けた努力を続けなければ制度は早晩行き詰まる。支払い能力に応じて負担する仕組みへの改革を急ぎたい。

 特例廃止によって約865万人の保険料が増額となる。負担増一本やりで老後の生活に支障を来すことになってはならない。だが、軽減措置が全く受けられなくなるわけではない。高齢者医療制度には本来、最大7割軽減される仕組みが設けられている。理解は得られよう。

 とはいえ、負担が一挙に3倍増になる人もいる。高齢者に無用な不安や混乱が広がらないよう丁寧な説明はもとより、時間をかけて移行する配慮も求めたい。

 一方、マクロ経済スライドのデフレ下での適用は、年金制度の足腰をより強固なものとし、将来世代の給付への影響を少しでも和らげるための有力な方策だ。支給開始年齢の引き上げや厚生年金加入基準の拡大とともに避けては通れぬ課題と位置付けたい。

 懸念されるのは、来春の統一地方選挙での高齢有権者の反発を恐れ、与党内に改革先送りの声があることだ。過去にはこうした声に押されて改革案がしぼんでしまったケースも少なくない。「先送りする政治」と決別するためにも、安倍晋三首相のリーダーシップに期待をしたい。

 社会保障制度は世代間の支え合いによって成り立っている。改革を成功に導くには、すべての世代が少しずつ我慢し、譲り合う精神を持たなければならない。

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