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【産経抄】将棋と哲学 10月15日

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【産経抄】
将棋と哲学 10月15日

 今年8月に訃報が届いた中央大学名誉教授の木田元(げん)さんが、東北大学哲学科に入学したのは、21歳のときだ。ドイツの哲学者、ハイデッガーの『存在と時間』を読みたい一心だった。

 ▼ところが木田さんは、大変なことに気づく。その思想をきちんと理解するためには、カントもヘーゲルもプラトンもアリストテレスも読んで、つまり西洋哲学全体を勉強しなければならない。結局、ハイデッガーについての著作を出すまでに、30年を超える月日が過ぎていた。

 ▼広島市出身の糸谷(いとだに)哲郎さん(26)は、大阪大学文学部から大学院に進み、現在、その難解なハイデッガーの哲学を研究している。といっても、本職は将棋の棋士である。しかも並の棋士ではない。高校3年生でプロになって以来、ユニークな言動と創造的な戦法で注目されてきた。

 ▼デビュー戦を飾った後、対局相手があまりの強さに「怪物だ」と感嘆の言葉を漏らしたとの逸話も残る。それで「怪物くん」の異名がついた糸谷七段は今月、ついにタイトル戦の初舞台を踏む。16日から、竜王戦の挑戦者として、森内俊之竜王(44)との七番勝負に挑むことになった。

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