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【正論】日本こそ対露制裁の旗振り役に 北海道大学名誉教授・木村汎

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【正論】
日本こそ対露制裁の旗振り役に 北海道大学名誉教授・木村汎

 右は、説得力を欠く主張と評さざるを得ない。そのような理由で対露制裁に躊躇(ちゅうちょ)するなら、日本は二重基準を採る利己的な国家に堕すからである。つまり、自国領土を取り戻すことには熱心な一方、他国が同様の仕打ちを蒙(こうむ)った場合は非協力を決め込む。むしろ、その逆こそが日本として取るべき正しい態度だろう。戦後日本は69年の長きにわたり、領土が略奪される悲劇を経験している。したがって、G7諸国でウクライナの憤りや心情を最も良く理解する立場にあり、クリミアなどをめぐる対露制裁に最も積極的な姿勢を取ることに吝(やぶさ)かではない、と。

 ≪中韓へのシグナル忘れるな≫

 わが国が厳しい制裁をロシアに科さなければならない第2の理由がある。日本が韓国や中国との間で領土紛争を抱えているという事情である。つまり、韓国は目下、日本固有の領土である竹島を不法占拠中であり、中国も隙あらば日本から尖閣諸島を奪おうと虎視眈々(たんたん)と機会を狙っている。

 そのような状況下で、安倍政権がクリミアなどウクライナの問題と北方領土の問題について首尾一貫しない態度を示すならば、どうであろう。日本の対応を刮目(かつもく)して見守っている北京やソウルに対して、誤解を招くメッセージを発信することになるだろう。

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