【主張】安倍総裁の3選 憲法改正の先頭に立て 謙虚な政権運営を心がけよ - 産経ニュース

【主張】安倍総裁の3選 憲法改正の先頭に立て 謙虚な政権運営を心がけよ

 安倍晋三首相が、自民党総裁選で石破茂元幹事長を破り、連続3選を果たした。
 任期は3年間で、戦前戦後を通じ、首相として歴代最長の在任が視野に入る。3年などあっという間だ。国民のために必要な政策を展開し、「安倍政治」の総仕上げを図っていかねばならない。
 安倍首相は当選後、「いよいよ憲法改正に取り組む。国民のために一致協力して新しい国を造ろう」と、党所属国会議員らに呼びかけた。
 ≪日米同盟の活用を図れ≫
 憲法改正を実現し、日本の未来を切り拓(ひら)くことは、首相と自民党に課せられた重い責務である。総裁選で首相が約束した通り、憲法に自衛隊を明記する党の憲法改正案を秋の臨時国会に提出してほしい。安全保障環境が激変する中、国民投票で「自衛隊」が憲法に書き込まれる意義は大きい。
 自民党は憲法改正の国民運動も始めるべきだ。党総裁として首相は先頭に立ってほしい。
 総裁選は告示後の3日間、北海道での地震のため運動が自粛された。日本列島で災害が相次いでいる。「想定外」の災害に備えるため、石破氏が強調した緊急事態条項の創設も急ぐべきだ。
 憲法改正を含め、安倍首相が政権運営をする上で忘れてはならないことがある。それは「国民の信頼」の確保だ。今年前半、内閣支持率の下落があった。財務省の文書改竄(かいざん)などへの対応で混乱し、不誠実、説明不足と見なされたのである。その後、内閣支持率は回復したが、このときの反省を忘れてはいけない。
 総裁選で安倍首相は石破氏の2倍以上の得票で勝利した。ただし、首相は国会議員票の82%を得た一方で、党員票は55%だった。善戦した石破氏は「自民党が決して一色ではないことを示せた」と語った。
 勝敗が見えていたため党員の投票率が伸び悩んだ面はある。それでも一定数の党員が厳しい目を注いだ点を安倍首相や支持した議員は肝に銘じ、謙虚で丁寧な姿勢で政権運営に当たる必要がある。
 来年は約200年ぶりに天皇陛下の譲位がある。今上天皇の退位と新天皇の即位をつつがなく執り行わなくてはならない。統一地方選と参院選、消費税増税も控えている。再来年は、東京五輪・パラリンピックが開催される。
 総裁選ではほとんど語られなかったが、日本をとりまく国際情勢は地殻変動を起こしている。防衛力の増強による抑止力向上に加え、日米同盟を活用して難局を乗り切っていくべきだろう。
 北朝鮮の核・ミサイル、拉致問題の解決は急務だ。中国の覇権主義にどう対処するか。短期的な関係改善に目を奪われては危うい。米中対立は通商や知的財産の問題にとどまらず、「新冷戦」まで進むかもしれない。北方領土問題は共同経済活動頼りでいいのか、対露外交の再構築が望まれる。
 ≪デフレから完全脱却を≫
 首相は23日から訪米しトランプ米大統領と会談する。北朝鮮、中国の問題に加え、日米の通商問題が重要テーマとなる。制裁をちらつかせ譲歩を迫るトランプ氏の手法は受け入れられない。毅然(きぜん)とした対応が必要だ。
 人口減少や少子高齢化への備えは論じられたが、従来の社会保障や地方制度の枠内では解決できない。コンパクトで質の伴った社会作りへ踏み出してもらいたい。
 来年10月の消費税率10%への引き上げを乗り切るためにも経済政策は引き続き重要だ。景気は緩やかな回復傾向にあるが、肝心の消費に勢いはみられない。
 安倍首相は日銀による大規模な金融緩和について、これを手じまいする「出口戦略」の道筋を任期中に付けたい意向を示した。緩和長期化の副作用に懸念が強まっているためだ。
 企業収益の改善を賃上げにつなげ、消費を押し上げる好循環の実現が欠かせない。規制改革などで成長産業を育て、民需を喚起する取り組みを強めるべきだ。その上で早急にデフレからの完全脱却を宣言できるかが問われよう。東京五輪後の景気は楽観できない。強い経済を取り戻す時間は長くないと認識しておくべきである。
 安倍首相は10月1日にも内閣改造・自民党役員人事を行う。将来の国政を託すに足りるリーダーを育てる視点を持ち、新体制をつくってほしい。