【主張】医学部入試 明確な基準で良い医師を - 産経ニュース

【主張】医学部入試 明確な基準で良い医師を

 女性に不利な選考をしていないというが、数字が物語っている。医学部の入試で女性の合格率が男性より低い大学が8割近くあった。他の学部にはない傾向である。なぜなのか、明確な説明が必要だ。
 東京医科大の不正入試をきっかけに、文部科学省が緊急調査した。
 同大を除き、特定の受験者へ不正加点や、女性を不利にするなど得点操作を行っていたとする回答はなかった。
 ところが、医学部医学科のある81の大学の過去6年の入試で、合格率の男女差が顕著に出た。
 平均合格率は男11・3%、女9・5%で男が1・18倍高かった。順天堂大(1・67倍)▽東北医科薬科大(1・54倍)▽昭和大(同)▽日本大(1・49倍)▽九州大(1・43倍)など、東京医科大(1・29倍)よりも男女差が大きかった大学が10以上あった。
 女性の方が合格率の高かった大学もある。定員の少ない医学部は数人の差で合格率が変わりやすく、年により男女比が逆転する大学もあった。大学ごとに違いはあるが文科省の学校基本調査によると、出願者に対する入学者は他学部・学科では女性の割合が高いか男女同程度だという。
 文科省は追加調査を行い、10月に最終結果をまとめるが、とくに男女差が大きかった大学を中心に要因を分析してもらいたい。
 東京医科大の不正入試では、女性と多浪生が得点操作で不利にされていた。女性医師は出産や育児などで休むことが多く、長時間勤務が難しいなどとして、入学者を減らしたかったようだ。
 医療現場では外科、救急や産婦人科医など、なり手が少ない診療科や地方の医師偏在が問題となっている。
 2次試験の面接などを通し、そうした分野で活躍できる人材など意欲ある学生を採り、育てる明確な理念を公(おおやけ)にし、医師養成を進めるならいい。だが、大学病院で若い男性医師の方が使いやすいといった女性への偏見が合格率の差につながっているなら、医師は疲弊するだけで、優秀な人材も離れるだけだろう。
 女性医師に診てもらった方が治癒率が高いといった研究報告もある。患者の気持ちに寄り添って治療を進められるからだという。患者に真に向き合える医師を育てる大学であってほしい。