【主張】防災の日 複合する災害に備えよう - 産経ニュース

【主張】防災の日 複合する災害に備えよう

 大阪北部地震、西日本豪雨、災害級の猛暑と台風の発生が相次いだ。6~8月の3カ月間、日本列島は立て続けに自然の猛威にさらされた。
 防災の専門家は「日本列島は複数の自然災害が重なって被害が大きくなる『複合災害』のリスクが極めて高い状況にある」と指摘する。
 9月1日は「防災の日」である。地震、火山噴火、豪雨、豪雪などさまざまな災害の「複合」も視野に入れ、備えと減災への取り組みを徹底したい。
 95年前、大正12年の関東大震災は、マグニチュード(M)7・9の大地震と台風による強風が重なった典型的な複合災害である。10万5千人に上る犠牲者のうち9万人以上が、激しい揺れから避難した後に、強風で拡大、凶暴化した炎に包まれ焼死した。
 複合災害で最も恐れなければならないのは、多くの住民が集まった避難施設が、別の災害に襲われることである。避難施設は耐震、防火を徹底したうえで暴風雨、猛暑、寒波などのリスクも検証し、安全性を高める必要がある。
 2年前の熊本地震では、学校の体育館が避難所として使えなかった事例があった。基本的な防災対策の見落としや先送りは、複合災害ではさらに深刻な被害につながる可能性がある。
 基本対策の積み重ねが複合災害への備えになる。一般の家庭も同じだ。どこでも起こり得る地震に対しては各家庭でも耐震、防火に取り組み、津波や水害から命を守るためにはできるだけ早く安全な場所に逃げることだ。
 この週末から来週にかけて、多くの地域や学校で防災訓練が予定されているだろう。5日ごろには今年最強の台風21号が日本列島を直撃する見通しだ。
 たとえば、台風と訓練が重なった場合は、住民の安全と台風対策を優先して訓練は中止、延期にすべきである。その一方で、「台風のときでも、地震から避難できるか」「避難所は台風にも地震にも耐えられるか」といった問題を現実的にとらえ、自治体や各家庭で検証する機会としたい。
 最悪の事態を想定し、あらゆる複合災害に完全に備えることは不可能だろう。だが、それぞれの災害対策を徹底し、複合を視野に入れて検証することで「想定外」を最小化し、減災につなげることはできるはずだ。