中国の産経拒否 異様な報道統制をやめよ

主張

 中国当局が、北京での秋葉剛男外務事務次官と王毅国務委員兼外相との会談に際し、産経新聞記者の冒頭取材への参加を拒否した。

 報道の自由を踏みにじる異様な統制である。厳しい制約の中で客観報道に努める外国メディア全体へのあからさまな圧力でもあり、到底容認できない。強く抗議する。

 北京に駐在する日本の報道各社は、本紙に対する取材拒否を看過できないとして、冒頭取材をボイコットした。毅然(きぜん)たる対応に敬意を表したい。

 政府の中国側への抗議も当然である。菅義偉官房長官は「今回の措置は極めて遺憾」と述べた。

 日中両政府は冷え切った両国関係の改善を模索している。10月23日が日中平和友好条約発効から40周年になる。秋葉、王両氏の会談は、安倍晋三首相の10月訪中に向けた調整が目的だった。

 だが、報道の自由の大切さを理解しない中国と、良好な関係を果たして結べるのだろうか。

 南シナ海の人工島の軍事化に代表される拡張主義や、国内での強権統治、人権軽視など中国の本質は何ら変わっていない。報道や言論を統制して恥じない態度もその一つである。

 報道の自由は、法の支配や人権などと並んで、国際社会の普遍的価値に数えられるものだ。

 それを無視して、今回のような取材拒否に走る。外国メディアを意のままに操ろうとする中国当局の常套(じょうとう)手段に屈するわけにはいかない。

 今年6月、日本記者クラブ主催の中国チベット自治区への記者団派遣をめぐっても、中国当局が本紙記者の参加を拒否し、日本記者クラブが派遣自体を中止した。

 本紙記者は全国人民代表大会(全人代)後の李克強首相の会見への出席も、昨年から連続して拒否されている。

 中国当局は査証(ビザ)発給や延長審査もメディア規制に利用している。本紙は一昨年まで中国総局長のビザ発給が3年以上凍結された。ビザ発給拒否は、米紙ニューヨーク・タイムズや最近では、新疆ウイグル自治区の人権問題などを報じてきた米ネットメディアの駐在記者にもあった。

 客観報道と公正な論評を貫く。報道の自由に対する中国当局の妨害・圧力に対抗するすべは、それ以外にない。