【主張】障害者雇用 水増しの責任だれが取る - 産経ニュース

【主張】障害者雇用 水増しの責任だれが取る

 中央省庁では障害者を7千人近く雇い、きちんと法定雇用率を上回っている。そう言われていた話に疑いが生じて調べてみると、数字の半分は水増しで雇用率は2・49%から1・19%に落ち込んだ。近代国家とは思えないでたらめぶりだ。
 政府は調査結果をまとめたところで一息ついたような風情だが、とんでもない。障害者や国民に対する嘘、裏切りが行政への信頼を打ち砕いたことにどれだけ気付いているのか。
 責任者を明確にし、処分することが最大の再発防止策である。
 発表された数字を見て、すぐに気になった点がある。雇用者数が「0・5人」刻みになっていることだ。短時間勤務者は1人を0・5人とカウントしている。重度障害者は1人で2人分に数える。
 働こうとするのは、仕事の種類や時間にかかわらず、一人一人の人間である。0・5人とか2人分という人間はいない。
 障害者の受け入れを厄介事ととらえ、数字上のノルマを達成すればよい、とする姿勢の表れではないか。しかも、その数字さえ水増しする。
 各省庁が公表していた数字をみると、法定雇用率の2・3%(今年3月まで)辺りに集中していた。水増しの比率はさまざまだが、足りない分は、ほとんど不正で補っていたことになる。
 障害者を組織の中でどのような仕事に従事させればよいかは、民間企業にとって簡単なことではない。それでも、できる限り働く場を広げ、能力を発揮してもらおうという障害者雇用促進法の趣旨を実現しようと取り組んできた。目標値に達しなければ、民間だけに納付金が科される。
 雇用状況について、監督官庁は障害者手帳のコピーや給与の支払いなどの詳細を企業に説明させている。旗振り役の中央省庁は、明確なチェックの仕組みがなかったと言い訳する。
 だが、民間からすると「どういう人を雇っているか分からない組織」などあり得ない。年間100兆円規模の予算を扱いながら、それほどずさんな政府なのか。
 1億総活躍社会の担い手には「障害や難病のある方々」が掲げられている。安倍晋三首相も「みんなが包摂され活躍できる社会」を目指すと国会で約束した。総裁選を争う以前の問題である。明確な処分を下してもらいたい。