8月29日

産経抄

 先日、航空自衛隊初の女性戦闘機パイロットの誕生が報じられていた。自衛隊の中でも花形とされる戦闘機パイロットから、さらに選び抜かれた精鋭集団が、「ブルーインパルス」である。

 ▼昭和39年10月の東京五輪開会式では、青空に5色の五輪マークを描いた。今でも全国各地の基地で開催される航空ショーで、ブルーインパルスが披露する高度な操縦技術は目玉企画となっている。

 ▼ところが、今年3月に小牧基地(愛知県小牧市)で開かれた航空祭では、ブルーインパルスの展示飛行が中止となり、来場者は前年の約6万2千人から約1万人に減ってしまった。地元の団体が「航空法違反にあたる」として、名古屋地検に提出した告発状が関係しているらしい。

 ▼埼玉県鴻巣(こうのす)市では、地元の共産党市議らが、10月に行われる空自の航空ショーそのものの中止を求めている。「航空ショーは戦闘と切り離すことができない」というのだ。今月20、21日には市内のショッピングセンターで予定されていた自衛隊のイベントが、やはり共産党市議らの反対で、中止に追い込まれたばかりである。

 ▼有川浩さんの小説『空飛ぶ広報室』は、元戦闘機パイロットの空井2尉が主人公である。ブルーインパルスの一員に選ばれながら、交通事故に遭って広報室に配属されていた。「戦闘機って人殺しのための機械でしょ?」。テレビの女性記者の一言に、空井は思わず声を荒らげてしまう。

 ▼「自衛隊は専守防衛が信条なんですよ。国外に攻め入ることはありませんから」。女性記者は幸い、取材を進めるうちに、空井の言葉を理解していく。「自衛隊イコール戦争」のイメージを広めるのにやっきになっている人たちは、耳を貸すつもりはなさそうだが。