【主張】西日本豪雨の教訓 住民主体で半日前避難を - 産経ニュース

【主張】西日本豪雨の教訓 住民主体で半日前避難を

 西日本豪雨から50日が過ぎた。被災地では、猛暑と台風が相次ぐ過酷な状況下で、不明者の捜索や復旧作業が続く。
 被災者の生活と地域の復旧・復興を、国、自治体、国民が支え続ける意思を新たにしたい。そして、200人を超える犠牲者を出した要因を検証し、その教訓を次の災害から命を守る備えと行動につなげなければならない。
 最も被害が大きかった広島県では217万人を対象に避難指示や勧告が出されたが、実際に避難した人はわずか0・3%の6千人余にとどまったという。最大の問題点は、災害情報が住民の避難行動に結びつかないことである。
 行政側の情報発信にも多くの課題はあるが、まずは一人一人が自らの命を守るために、避難意識を見直す必要があるだろう。
 キーワードとして「半日前避難」「住民主体」「弱者の視点」の3つを挙げたい。
 西日本豪雨は7月6日夜から翌日にかけて、同時多発的に土砂崩れや河川氾濫が発生した。気象庁は5日午後、「非常に激しい雨が断続的に数日間降り続き、記録的な大雨になるおそれがある」と厳重な警戒を呼びかけていた。
 命を守るためには、6日夕までに避難を終える必要があった。
 実際の被害がどこで発生するかまでは予測できないが、災害リスクが高まるおよその時間帯は把握できる。土砂崩れや河川氾濫の危険地域では「空振り」を厭(いと)わず、住民が自らの意思で早めに避難すべきである。
 行政の指示や勧告に従うことも大事だが、夜間の避難指示に「かえって危険」と判断した住民もいる。災害の危険が迫る時間帯の「半日前」を目安とすれば、安全な避難が可能になるはずだ。住民の主体性が重要だ。
 2年前の台風10号災害を契機として、避難勧告や指示よりも早い段階で出される「避難準備情報」に「高齢者等避難開始」の語句が加えられた。
 お年寄りや障害者、乳幼児など災害弱者を守るために避難を促す情報だが、多くの人は「まだ避難しなくてもいい」という意味にとらえているのではないか。
 土砂や濁流に対して「強者」はいない。すべての人が弱者の視点で災害に備え、避難を含めて「命を守る行動」を始める契機ととらえるべきである。