【主張】米長官の訪朝中止 非核化せぬ交渉無意味だ - 産経ニュース

【主張】米長官の訪朝中止 非核化せぬ交渉無意味だ

 ポンペオ米国務長官が予定していた4回目の北朝鮮訪問が取りやめとなった。トランプ大統領が指示した。
 トランプ氏は、その理由として「朝鮮半島の非核化に十分な進展が見られないと感じた」と説明した。現状はこの一言に尽きるだろう。
 北朝鮮は6月の米朝首脳会談で、「完全な非核化」を確約した。だが、核・弾道ミサイルの廃棄に向けた具体的な行動は一切取っていない。
 核兵器の搬出どころか、保有状況の申告もしていない。核、ミサイル実験を行っていないというだけだ。訪朝中止は当然である。
 ポンペオ氏は非核化のための交渉にあたっている。だが、前回の訪朝では、北朝鮮は、当然の要求を「強盗的」と反発した。
 北朝鮮が真摯(しんし)な姿勢を見せないなら、交渉の続行は有害ですらある。北朝鮮は核戦力を温存したまま時間を稼ぎ、中国やロシアを「後ろ盾」に自国有利の状況をつくりだそうとしている。
 トランプ氏は、首脳会談やその後の米朝交渉について、「大成功」「順調」と繰り返してきた。11月の米中間選挙を意識してのことだろう。
 だが、もはや言い繕えないと判断したのではないか。国務長官の重要日程が突然中止となるのは異例である。
 米国主導の「最大限の圧力」が金正恩政権を対話へと導き出した。トランプ政権はいま一度、その原点に戻るべきだ。
 北朝鮮に対する制裁は、洋上での「瀬取り」による密輸の監視強化など、厳格履行の努力が続けられている。重要なのは、トランプ氏自身が金氏に対し、「会談を楽しみにしている」といった態度をやめ、非核化要求を明確に突きつけることだ。
 米韓合同軍事演習の中止に代表される軍事的な緊張緩和措置の見直しも検討すべきではないか。
 ポンペオ氏の次回訪朝については、非核化への具体的な措置で、北朝鮮側から確約を得てから行うべきである。
 トランプ氏は、中国との貿易問題に触れて、北朝鮮に対する制裁圧力で「かつてのように協力していない」と非難した。
 状況がどうであれ、北朝鮮の非核化に向け、中国の役割が重要なことに変わりない。大国としての責任を果たしてもらいたい。