【主張】韓国徴用工訴訟 解決済みの協定を覆すな - 産経ニュース

【主張】韓国徴用工訴訟 解決済みの協定を覆すな

 司法が史実や法をねじ曲げ、まっとうな法治の国といえるのか。
 元徴用工が日本企業に賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国最高裁が審理を開始した。
 戦後補償問題は日韓国交正常化に伴う協定で、個人補償を含めて解決済みだ。これを覆した6年前の韓国最高裁の判断自体が不当である。
 国家間の約束を破るもので、国際法上、認められない。ただちに撤回すべきである。
 戦時中に徴用工として働いていた韓国人4人が2005年に、新日鉄(現新日鉄住金)に損害賠償を求めて提訴した。1、2審は訴えを退けたが、韓国最高裁は12年5月、これを覆し、日本の朝鮮半島統治を「不法な強制的占拠」などとして元徴用工らの個人請求権を認めた。
 翌年の差し戻し審の高裁判決が徴用について「不法な植民地支配と侵略戦争遂行に直結した反人道的不法行為」と決めつけたことにも、耳を疑う。
 戦時徴用は当時の法令(国民徴用令)に基づき、合法的に行われた勤労動員である。なんでも「強制」と批判するのは、言いがかりに等しい。
 1965年の日韓請求権・経済協力協定を、韓国最高裁が知らないはずはない。日本が無償で3億ドル、有償で2億ドルの供与を約束し、請求権問題は「完全かつ最終的に解決された」と明記された。日韓関係の基盤である。
 無償3億ドルには個人の被害補償問題の解決金が含まれている。盧武鉉政権はこれを認める見解をまとめており、当時の側近、文在寅大統領も熟知しているはずだ。
 韓国では、朴槿恵前政権と司法当局が癒着していたなどとして検察が捜査している。
 違法行為があれば罪に問うのは当然である。だが、政権交代の度に前政権の全てを否定し、国家間の約束すら反故(ほご)にするようでは不安定極まりなく、隣国として付き合うことすら難しい。
 今回の訴訟で、賠償命令が確定すれば、日本企業の保有資産が差し押さえられる可能性がある。さらなる提訴の連鎖も懸念される。経済を含め、戦後に築いてきた両国関係は大きく損なわれよう。
 政府は訴訟の対応を企業に任せず、事実と法に基づく明確な主張を発信し、根拠なき請求には拒否の姿勢を貫くべきである。