【主張】東京パラ2年 街の形と人の心変えよう - 産経ニュース

【主張】東京パラ2年 街の形と人の心変えよう

 2020年東京パラリンピックは、2年後の8月25日に開会する。
 パラ五輪をどう成功に導くか。16年リオデジャネイロ大会で金メダルなしだった日本の選手団の奮起を望むとともに、国民一人一人に投げ掛けられた問いでもある。
 世界から訪れる選手を満員の観衆が出迎える。それが最上のおもてなしだろう。各会場のスタンドを観戦者が埋めた12年ロンドン大会の成功をまず第一の目標としたい。そのため、観戦する側がパラ競技への理解と関心をさらに高めたい。
 パラ五輪には、大きく2つの役割があるとされる。一つは、スポーツを通じて障害者の社会参加を促すこと。一つは、健常者と共生する社会をつくることだ。
 東京のノンステップバスの普及率は16年度末で9割を超え、全国1位だった。車いす利用者らが乗れる福祉タクシーも、各地で目にする機会が多い。20年大会に向けて、目に見える「段差」は解消されつつある。
 しかし、バリアフリーの意味について、人々の理解はまだ追いついていない。
 日常生活を車いすに頼る、あるパラ選手は「福祉タクシーは増えたけど、歩道と車道の段差がある場所で降ろされることが多い」と嘆いていた。段差のない位置まで車道の上を数十メートルも移動しなければならないのだという。
 駅のホームで、エレベーターの利用を高齢者や車いす利用者に譲る。周りの人が一緒にベビーカーを抱えて階段を上る。「弱者」の視点に立った少しの心配りで、社会は変わる。残る2年で、社会のハード(設備)に加えて、人々のハート(心)も変えることができるのではないか。
 「史上最も成功した大会」とされるロンドン大会について、東京五輪招致のプレゼンテーションも手がけたロンドン在住のマーティン・ニューマン氏は「ロンドンが成功したのではなく、パラ五輪がロンドンを変えたのです」と語った。その招致で活躍したパラ選手、谷(旧姓・佐藤)真海は「五輪はどかーんと盛り上がりますが、パラには大会後に残せるものがより多くあると信じている」と話したこともある。
 残せるものとは、街の形と人の心だろう。日本に大きな財産を残せるよう、社会全体で大会準備を進めたい。