南北首脳会談 非核化なき協力は有害だ

主張

 韓国の文在寅大統領が来月、平壌を訪れ、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長との3回目の南北首脳会談に臨むという。

 4月の最初の南北会談では、「1年以内の非核化で合意した」とボルトン米大統領補佐官が明らかにした。だが、北朝鮮は、核・弾道ミサイルの廃棄に向け、具体的措置を取っていない。

 南北首脳会談の最重要テーマは「板門店宣言」がうたった「完全な非核化」でなくてはならない。この点で進展がなければ、首脳会談の意味はない。

 大きな懸念は、文氏の対北協力への前のめりの姿勢である。最近の演説でも、協力により見込まれる莫大(ばくだい)な経済効果に言及した。

 韓国は、日米と足並みをそろえ、核・ミサイル廃棄の要求を突きつけるべき立場にある。米朝交渉の仲介役を気取って、北朝鮮への配慮を示すことなどもってのほかである。

 北朝鮮は満足するどころか、韓国は実質を伴う経済協力に踏み出さないと不満を表明している。

 南北経済協力の推進も「板門店宣言」にある。だが前提は、国連安全保障理事会の制裁決議が解かれる状況になることだ。北朝鮮の核・ミサイルの廃棄が先決なのである。

 中国やロシアは、対話局面を理由に制裁緩和を唱えるようになった。北朝鮮包囲網がなし崩し的に弱められるようでは、北朝鮮は増長するだけだ。制裁の厳格履行を貫くことこそ重要である。

 こうした状況下での南北経済協力の実施は有害ですらある。開城工業団地の再開であれ、南北間の鉄道、道路の整備であれ、制裁の例外づくりは認められない。

 そんな折、韓国企業が昨年4~10月、大量の北朝鮮産石炭をロシア産と偽装するなどして違法に輸入していたことが明らかになった。黙認でなければ、脇が甘かったのだろう。文政権は制裁の履行状況を徹底的に見直すべきだ。

 北朝鮮の制裁逃れはこれにとどまらない。際立つのは、洋上で積み荷を移し替える「瀬取り」と呼ばれる石油精製品などの密輸行為である。今年に入り急増し、手口が巧妙化しているという。

 いつまで国際社会をだまし続けるのか。核・ミサイルを廃棄し、拉致問題を解決する。金氏の進むべき道はそれ以外にないと分からせるのが文氏の役割である。