【主張】がん検診 質の管理に目を向けよう - 産経ニュース

【主張】がん検診 質の管理に目を向けよう

 がんを早期に発見し、治療するには、がん検診が不可欠だ。だが、検診での見落としなどが生じている。検診は決められた手順や態勢で行われることが必要なのに、徹底されていないのは、極めて問題である。
 検診の質が不十分であれば、がんを見つけて治療につなげることは期待できない。
 質を満たさない検診を放置してはならない。国は広く実態を把握して対応してもらいたい。
 市区町村は、基準を満たす医療機関を適切に選んで、住民検診を委託しなければならない。それには地域医師会の協力が欠かせない。都道府県は両者を後押ししてほしい。
 東京都杉並区で、肺がん検診を受けた女性が、がんを見落とされ、早期の治療機会を失う事例があった。女性は同じ医療機関で何度もがん検診を受けていた。
 ここでの検診は、厚生労働省と国立がん研究センターなどが求める「質の指標」を満たしていなかった。胸部エックス線写真の読影は、2人の医師が行い、うち1人は肺がん診療か放射線科の専門医であることが求められている。しかし、専門医抜きで行われることがあった。
 質の指標は、胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸(けい)がんについて、どんな検診をするか、受診者に何を説明するか細かく決まっている。精密検査の結果を、市区町村と検診機関などが共有することも盛り込まれている。
 だが、徹底している地域と、徹底していない地域がある。猛省を促したい。不利益を被るのは住民である。
 市区町村の検診だけではない。企業の健康保険組合などで行うがん検診は、チェックする態勢自体が整っていない。
 がん検診の指標は、長らく「受診率の向上」だった。だが、検診の質を問う「精度管理」の必要性が、昨年更新された国の「がん対策推進基本計画」に盛り込まれている。
 受ける側も自覚すべきことがある。質の指標には精密検査の受診率が含まれるが、65~85%と地域やがんの種類で差がある。精密検査なしでは検診の意味は薄れる。結果に向き合うのは不安かもしれないが、早期発見のための検査である。その意義を理解して、がん検診を正しく受けたい。