韓国「慰安婦の日」 関係改善に逆行するのか

主張

 韓国の文在寅政権が、日韓関係を発展させると言いながら、実際には逆の行動をとっている。極めて残念である。

 文大統領は日本の朝鮮統治からの解放を記念する「光復節」の式典で演説し、安倍晋三首相との間で両国関係を未来志向的に発展させ、地域の平和と繁栄のため協力することで一致していると語った。

 北朝鮮核危機のさなか、日韓や日米韓の協力は重要である。文氏が歴史問題で日本を直接非難しなかったことは評価できよう。だが、文政権が今も日韓合意を否定し、慰安婦問題を蒸し返している点は日本として見過ごせない。

 韓国政府は今年から8月14日を法定記念日の「日本軍慰安婦被害者をたたえる日」(慰安婦記念日)とした。10日には「日本軍慰安婦問題研究所」を発足させ、日韓合意の「即刻、無効化」を唱える大学教授を所長に起用した。

 2015年12月の日韓合意を忘れてもらっては困る。合意で両国政府は慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した。「互いに非難、批判することは控える」ことも約束した。

 慰安婦記念日の式典での文氏の演説は、未来志向とはほど遠かった。慰安婦問題について「外交交渉で解決するとは考えていない」と述べつつ、「問題が韓日間の外交紛争につながらないことを望む」と語ったのである。

 「外交交渉で解決しない」との立場は、日韓合意の否定にほかならない。そのうえ、「外交紛争を望まない」というのはあまりに虫がよすぎる。日本に対して「文句をいわずに、黙っていよ」と求めたも同然ではないか。

 文氏は、慰安婦の問題を「両国間の歴史問題」と並んで「人類にとって普遍的な女性の人権問題」とも位置づけた。慰安婦問題の研究所が「性奴隷」だったという嘘を広め、歴史をねじ曲げる宣伝をするなら許すことはできない。

 そもそも韓国は、朝鮮戦争における韓国軍や米軍などのための慰安婦や、ベトナム戦争時の韓国軍によるベトナム人女性への性暴力の問題について、どれほど取り上げる気があるのか。

 日本政府は慰安婦記念日の文氏の演説を受けて、日韓合意の「着実な実施」を韓国政府に申し入れたが、これでは手ぬるい。はっきりと抗議し、翻意を促さなくてはならない。