「おへそ」の形が気になる季節

イタリア便り
ローマ西部のオスティアで海水浴に興じる人たち(ロイター)

 海水浴シーズンが到来し、イタリアの新聞では「水着を着る若い女性が自分のへその形を気にする季節」といわれている。へその形に自信のある女性は積極的にその美しさを誇示するのだという。

 昔はどうだったのか-。ルネサンス期のイタリア絵画に答えを求めようと美術図鑑のページをめくってみた。当時の巨匠たちが「へそ」にそれほど重点を置いているとは思えなかった。

 ボッティチェッリの「ビーナスの誕生」で描かれているへそは小さく丸いかわいい形だし、ラファエロが「3美神」で描いたのは、丸くくぼんだ何気ない印象だ。ティツィアーノの傑作「聖愛と俗愛」で見られるのも小さくへこんだ形をしている。

 そもそもへそは、母体から胎児に栄養と酸素を送る重要な管が出生と同時に役目を終え切断され、その管の端にできた穴が固い筋膜で覆われてできるという。日本で昔から「おヘそを出していると雷様に取られますよ」と注意されたように、人に見せるものではなかった。

 しかし時代は変わった。イタリアでは自分の好きなモデルのヘその写真を持参して、「この形にしてください」と形成外科を訪ねる女性も少なくないという。日本でもイタリアでも、手術代は20万円前後と聞く。(坂本鉄男)