【主張】首相も「出馬」表明 9条改正大いに論じ合え - 産経ニュース

【主張】首相も「出馬」表明 9条改正大いに論じ合え

 安倍晋三首相が地元山口県の会合で「6年前に自民党総裁選に出た時の志はみじんも変わることはない」と述べた。
 事実上の出馬表明である。10日に表明した石破茂元幹事長との一騎打ちとなる構図がはっきりと見えてきた。党内の幅広い支持を得ている首相の出馬は当然視されていたが、「3選」に向けて大いに政策論議を戦わせてほしい。
 首相が外交・経済の基本路線を継続するとしても、政策の修正や強化の必要性について最大与党が定期的に検証することは欠かせない。石破氏との真正面からの議論を国民に示す必要がある。
 注目すべきは、首相が憲法9条に自衛隊を明記する改正について「大きな責任を持っている」と語ったことだ。石破氏も同じく9条改正を主張するが、戦力不保持を定めた2項の削除を求める点で首相とは立場が異なっている。
 9条改正について首相は「勇気を持って説明していきたい」と訴えたが、石破氏は「優先順位が高いとは私は思わない」と述べている。それでは期待する正面からの論戦とはなりにくい。
 なぜ自衛隊を明記すべきかという根本的な意義を含め、この機会に両氏には、国民の前で分かりやすく論じ合ってもらいたい。
 その前提として、北朝鮮や中国の動向など安全保障環境の大きな変化や、トランプ米政権との間での日米同盟のあり方についても認識を明らかにしてほしい。
 保護主義を強める米国とどう付き合っていくか。自由貿易や民主主義の価値観が死活的に重要な日本にとっては文字通り、かじ取りにかかわる問題である。
 首相は森友、加計問題にも触れて「再発防止を徹底的に進める」と語った。石破氏がこの問題を念頭に「正直、公正」を掲げたことも意識したのだろう。
 佐川宣寿前国税庁長官の虚偽答弁や財務省の公文書改竄(かいざん)などは行政に対する国民不信を募らせた。問題を長引かせ、国会審議の停滞を招いた面も大きい。石破氏の問題提起を受け止め、論争を機会に行政の立て直しや信頼の回復を図らなくてはならない。
 首相の政権基盤が強固となるなかで、党内の政策論議が停滞するきらいもあった。両氏の論争に連動し、支持する議員らも内外の政策を吟味し、論争を盛り上げることに腐心してもらいたい。