【主張】ヤマト過大請求 顧客の信頼裏切る行為だ - 産経ニュース

【主張】ヤマト過大請求 顧客の信頼裏切る行為だ

 宅配便最大手のヤマトホールディングス(HD)の子会社が、法人向けの引っ越し料金について過大請求を繰り返していた。
 7年前に子会社からの内部告発があり、不正を認識していたのに、放置してきた。会社ぐるみの疑いも拭えない。
 同社は昨年秋、人手不足などを理由に個人向け料金を15%値上げし、法人向けはそれ以上に引き上げた。その裏で不正な料金徴収を続けていた。顧客の信頼を根本から裏切る悪質な行為といえる。
 このほかにも、宅配ドライバーへの残業代未払いで労働基準監督署から是正勧告を受けたこともあった。続発する不祥事は企業統治が機能していない証左である。全社的な意識改革が欠かせない。
 引っ越し料金は本来、実際に運んだ荷物の量などに応じて決まるが、当初の見積額のまま過大に請求していたという。
 先月の記者会見では、不正請求は一昨年5月から今年6月までで約4万8千件、17億円と発表していた。だが、そのすぐ後、この5年で約31億円にのぼると大きく修正することになった。
 問題は、7年前の内部告発で過大請求を把握しながら、子会社固有の問題だとして全社的な実態調査を怠ってきたことである。
 それが最近、社外からの指摘を受けてようやく実態を確認したというからお粗末である。法令順守の意識が決定的に欠如していると言わざるを得ない。
 ヤマト側は「組織として過大請求を指示したことはない」というが、告発した元従業員は「利益を拡大するために意図的に過大な請求をしていた」としている。
 ヤマトは今月末までに調査報告をまとめる予定である。経営幹部による関与の有無を含め、徹底的に不正を洗い直す必要がある。それがなければ、効果的な再発防止策など講じられるはずがない。
 同社は高いサービス水準で知られてきた。昨年、料金を大幅に値上げすることができたのも、社会基盤として一定の宅配サービスを維持するためには、要員増や賃上げのための負担増もやむを得ないという、顧客側の理解があったからにほかならない。
 ネット通販向けの急激な需要増などで売り上げを拡大してきた宅配最大手として慢心はなかったのか。厳しい反省が求められる。